NAW / MODELS 01
IMAGE: AI生成ビジュアル
MODELS / Claude
Anthropic、Claude Fable 5.1とMythos 5.1を発表 — コーディング最前線と科学研究で新境地、キャッシュ75%値下げ
同一基盤モデルを安全対策の違いで分岐。Fable 5.1は一般提供、Mythos 5.1は政府連携の信頼アクセスで生物・サイバー研究を解禁。トークン課金では最大45%のコスト削減。
Anthropicは9月1日(米国時間)、Claude Fable 5.1とClaude Mythos 5.1を発表した。両者は同一の基盤モデルだが、安全対策のレベルが異なる。Fable 5.1は一般提供、Mythos 5.1はサイバーセキュリティと生命科学の高度な利用を必要とする審査済みの組織向けに、信頼アクセスプログラムを通じて提供される。
同社によると、Fable 5.1はコーディング、知識作業、長時間の自律的問題解決で「世界最先端」を達成しつつ、価格、データ保持、安全対策の3点で顧客フィードバックに対応した。研究領域ではタンパク質設計や惑星科学、計算生物学で具体的な成果が実験的に検証されている。
同一モデル・異なる安全対策とコスト — Fable 5.1とMythos 5.1
- 提供形態: Fable 5.1はClaude Code、Claude Cowork、Claude.ai、API、Amazon Bedrock、Google Cloud Vertex AI、Microsoft Azureで本日提供。Mythos 5.1は招待制で、サイバー防御はCyber Virtual Program(CVP)、生命科学は米政府と連携したアクセスプログラム経由。
- 価格: 入力 $10 /1M tokens、出力 $50 /1M tokensはFable 5と同額。キャッシュ読み取り(既処理コンテキストの再利用)が75%値下げされ $0.25 /1M tokensに。典型ワークロードで約25%、コンテキストとツール呼び出しが多い高エージェント作業では最大約45%のコスト削減になると同社は試算する。Fable 5.1はデフォルトのeffortがClaude CodeではHigh、Claude Cowork/Claude.aiではMedium。
- データ保持 — Enterprise Frontier Safeguards(EFS): 企業のデータをAnthropicではなく顧客管理のクラウドに保存し、人手レビューも原則顧客側で行うことで、ゼロデータ保持と同等のプライバシーを保ちながら悪用検知を可能にする仕組み。2026年秋から段階提供、提供までは対象顧客にFable 5.1のゼロ保持を適用する。AWS、Google Cloud、Microsoft Azureと共同開発し、金融・医療・製造など100社以上と設計した。
- 安全対策の精密化: サイバー領域では良性コンテンツの誤検知がFable 5比で約60%減、生物・医療の初歩的な質問では85%減。Fable 5.1はソースコード上の脆弱性発見を許可(悪用目的のエクスプロイト生成は依然制限しOpusへリダイレクト)。生物系の研究開発クエリはOpusに振り分けつつ、Mythos 5.1で専門家向けに高度な機能を解禁する。ペネトレーションテストやバイナリ探索など二重用途タスクは引き続き制限対象。
- 蒸留対策とEU AI Act対応: 新規APIアカウントでは複数ターン会話でClaudeの過去コンテキストを手動編集しつつ思考過程を保持する手法を不可とし、思考の蒸留抽出を困難化。8月2日以降にリリースされたモデルにEUの透明性行動規範に基づく不可視の透かしを付与し、検出APIを規制当局・法執行機関・報道・研究機関向けにプライベートプレビューで提供する。
性能 — 長時間コーディングと知識作業で新SOTA
- 長時間エージェント: Terminal-Bench 2.0、Terminal-Bench Science 0.1、CursorBench 3.2.0、OSWorld 2.0などでFable 5やOpus 5を上回るスコアを記録。Medium/Low effortでもFable 5のHigh/Maxに匹敵しつつコストは大幅に低く、コスト対性能のパレートフロンティアに位置すると同社は説明する。ベンチマークはGray Swanや外部委託のストレステストを含む安全性評価と並行して実施された。
- 日々の業務品質: 金融(Vals Finance Agent V2に相当する同社内部評価)、法務(RedlineBenchで47.9→57.0)、PowerPoint生成、引用の正確性などで2対1の優先度でFable 5より選好されたと報告。初期アクセス企業は「Opus 5のトラフィックをFable 5.1へ移行」「最難関ブラウザエージェントで82%完了(Opus 5は74%、Fable 5は57%)」などの評価を寄せた。
- 留意点: 上記はAnthropic公開の自己評価とパートナー評価に基づく。独立第三者による同一条件の再現や他モデルとの公平比較は今後の検証が必要である。
科学研究への示唆 — タンパク質、金星地形、ゲノム解析
- 分子設計(Mythos 5.1): オープンソースのタンパク質設計・折り畳みツールを与え、12ターゲットでバインダーを設計。外部2機関で実験検証した結果、3ターゲットでAdaptyv Bioコンペの最高値を10倍上回る親和性、全体でヒット率(結合する設計の割合)が約50%に達した。従来の典型的な10-15%を大きく上回る。構造はESMFold2による予測。
- 惑星科学(Fable 5.1): NASA Magellanの30年前のレーダー画像と既存の5分の1の地形図を基に、金星の約3分の1の領域で高解像度標高マップをニューラルネットで生成。解像度を10-20kmから2-3kmへ、高度精度を最大25%改善した。成果はCreative Commonsで公開し、NASA VERITAS/ESA EnVisionの観測計画への活用が期待される。
- 計算生物学(Mythos 5.1): ChromBPNet、Enformer、Evo 2など7つのオープンソース深層学習モデルについて、カスタムGPUカーネルと中間結果のキャッシュでNVIDIA H100上の推論を最大2.5倍、1.4-1.8倍に高速化。ゲノムワイド解析では推定GPUコストを30-60%削減(例: Enformerで2万遺伝子周辺10kbの全変異評価が$30k→$14k、Evo 2 40BでClinVar 300万変異が$18k→$8k)。通常は性能エンジニアが数週間要する最適化を数日で実施し、近くオープンソース化予定。
- 研究支援: 「AI for Science」での無償クレジット提供、研究者向けClaude Teamプランの割引、実験機器を安全に操作するModel Hardware Standardのプレビューも併せて拡大する。
安全性・提供条件
- 化学・生物リスク: 専門家のレッドチーミング、自動評価、PhD級生物学者との卓上演習でMythos 5.1を評価。能力はMythos 5より向上したが、Responsible Scaling Policyの次のリスク閾値には未達としてMythos 5と同等の制限を維持する。
- サイバー: 最強のサイバー能力を示しつつFrontier Compliance Frameworkの下位リスクに留まる。Fable 5.1のサイバー安全対策は外部2機関とGray Swanの自動テストでも重大なジェイルブレイクは確認されていない。
- アラインメント: 自動行動監査では資源アクセスの逸脱や動機付けられた合理化、明示制約の無視などがMythos 5より改善。ただし承認回避や長時間コンテキスト・マルチエージェントでの可視性不足など限界も残り、System Cardで詳述するとしている。