計算ノードの中心に浮かぶ青い推論コアの抽象ビジュアル
NAW / MODELS 01

IMAGE: AI生成ビジュアル

MODELS / Anthropic

Anthropic、Claude Fable 5.1 / Mythos 5.1を発表 — 25%低コスト化と科学研究での飛躍を強調

同一モデルを異なる安全対策で提供。Fable 5.1は一般提供、Mythos 5.1はサイバー/バイオ向けの限定提供。Terminal-Bench-ScienceでFable 5比2倍超の精度を報告。

Anthropicは9月1日(米国時間)、最上位モデル群「Claude Fable 5.1」と「Claude Mythos 5.1」を発表した。両者は同一の基盤モデルだが、安全対策のレベルを分けて提供する。Fable 5.1は一般提供、Mythos 5.1はサイバーセキュリティとライフサイエンス向けの信頼されたアクセスプログラム経由でのみ提供される。

同社は今回の更新で、顧客から要望の多かった価格・データ保持・安全対策の3点に同時に対応したと説明する。

価格・データ保持・安全対策の変更点

  • 価格: キャッシュ読み取り(過去に処理して保存された入力の読み出し)の料金を引き下げたことで、トークン課金での典型的なワークロードでFable 5比 約25%安になると試算。エージェント的でキャッシュを多用するワークロードでは最大約45%の削減になるという。いずれもAnthropicの公称値である。
  • データ保持: 新たな「Enterprise Frontier Safeguards(EFS)」により、顧客が完全に管理するクラウド基盤にデータを保管しつつ、最先端の悪用防止を維持する設計を導入。EFSは今秋から段階的に企業顧客へ提供予定で、それまでの間は対象顧客にゼロデータ保持でのFable 5.1利用を許可する。
  • 安全対策: 誤検知(良性コンテンツを有害と判定)を大幅に削減。サイバー領域では従来比60%少ない誤ブロックを報告。Fable 5.1は脆弱性の発見には使えるが、エクスプロイトの開発には使えないよう制限している。バイオ領域ではMythos 5.1の高度なバイオ能力を米国政府とのパートナーシップによるアクセスプログラムで提供し、近く科学者向けの登録を開始する予定。

性能 — ベンダー公称のベンチマーク結果

Anthropicは複数のベンチマークでFable 5.1が前世代(Fable 5)やOpus 5を上回ったと報告している。いずれもベンダーによる測定であり、独立評価ではない点に留意が必要だ。

  • Terminal-Bench-Science 0.1(エージェント的科学研究): Fable 5.1が52.6%、Fable 5が24.7%、Opus 5が29.0%。同社は「High effortで測定。Fable 5.1はLow/MediumでもFable 5と同等以上の結果をより低コストで達成する」としている。
  • Terminal-Bench 4.0(エージェント的コーディング): Fable 5.1が55.8%、Mythos 5.1が60.9%、Fable 5が42.0%、Opus 5が52.3%。FableとMythosの差は、従来の粗いサイバー安全対策が介入したタスクの差分によるもので、今回の改善で差は縮小する見込みと説明している。
  • Humanity’s Last Exam(学際的推論): toolsありでFable 5.1が65.0%、Fable 5が63.8%。toolsなしで60.9% vs 57.8%。
  • CursorBench 3.2.0(エージェント的コーディング): Fable 5.1が73.4%(max effort)、Fable 5が70.5%。
  • その他: GDPval-AA v2(知識労働)1853 vs 1723、OSWorld 2.0(コンピュータ操作)partial 77.9% vs 72.9%、AutomationBench 31.4% vs 17.1%など。

同社はまた、Jane Street、MongoDB、Canvaなど20社以上のアーリーアクセスパートナーからの定性的評価として、長時間自律実行での可読性維持、稀なクラッシュ原因の特定、複雑なプロトタイピングの無人実行などを紹介している。

科学研究への示唆

Fable 5.1 / Mythos 5.1の研究能力として、Anthropicは3つの事例を挙げた。

  • 分子設計: Mythos 5.1にオープンソースのタンパク質設計・フォールディングツールを与え、12ターゲットでバインダー設計を外部検証。ヒット率が約50%(通常10–15%)、3ターゲットでは競合の最良設計比10倍の結合親和性を示したとしている。
  • 計算解析・モデリング: Fable 5.1がNASA Magellanのレーダー画像から金星の3分の1を覆う高解像度標高地図を作成。解像度を10–20kmから2–3kmへ、高度精度を最大25%向上させ、Creative Commonsで公開した。
  • 計算生物学: 7つのオープンソース深層学習モデルでカスタムGPUカーネルと中間結果キャッシュにより最大2.5倍の高速化を達成(出力は同一)。

これらはいずれもモデルがツールを使いこなす“エージェント的研究”の初期例として提示されたもので、独立検証は今後の課題である。

提供と今後

Fable 5.1はClaude CodeではHigh effort、Claude CoworkとClaude.aiではMediumが既定。価格改定はトークン課金のワークロードで即時恩恵があり、EFSは今秋以降の段階提供となる。Mythos 5.1のバイオアクセスは登録開始を予定しており、詳細は追って案内される。

出典

掲載内容は公開時点の情報に基づきます。重要な判断では、一次情報と最新の提供条件をあわせてご確認ください。