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テキサス州知事、FlockのAI監視カメラへの州資金支出を一時停止 — 3000万ドル超の導入実態が発覚
アボット知事が全州機関にFlockカメラへの支出停止を指示。自動車保険料への1ドル上乗せを原資とするMotor Vehicle Crime Prevention Authorityが3,200台以上を配備していたことがTexas Tribuneの調査で判明。
テキサス州のグレッグ・アボット知事は2026年8月28日、AIを搭載したナンバープレート読み取り監視カメラ「Flock」への州資金の支出を一時停止するよう全州機関に指示した。知事報道官がTexas Tribuneの取材に確認した。指示は、同紙が州機関による3,000万ドル規模のFlockネットワーク整備に関する調査報道の公表を準備していたタイミングで出された。
Flockカメラをめぐっては、AIによる車両特徴の追跡・蓄積や全国的なデータ共有、警官による悪用事案への懸念から超党派の批判が高まり、テキサスを含む全米の自治体で契約解除が相次いでいる。
州資金停止の指示と背景
- 指示の内容:アボット知事は8月28日夜、州機関に対しFlockカメラへの州資金支出を停止するよう指示した。報道官のアンドリュー・マハレリス氏は「都市がカメラに得ている資金の大部分は連邦政府由来だ。テキサス州機関からの資金については、その資金をFlockカメラに使えないことを各機関が明確化している」とTribuneに述べた。
- 発覚の経緯:Texas Tribuneが、州機関が地元警察への助成金を通じてFlock監視網を構築してきた実態を調査。公表直前に知事側が支出停止を決めた。
- 政治的な文脈:民主党の知事選候補者ジーナ・ヒノホサ州議会議員は「令状なき監視」と批判する広告を公開し、アボット氏の責任を追及。共和党のキース・セルフ連邦下院議員も連邦機関によるFlockデータへのアクセスに令状を義務付ける法案を7月に提案するなど、与野党双方で懸念が広がる。
3,000万ドルと3,200台 — 保険料上乗せが原資
- 資金規模:Texas Tribuneの調査によれば、Motor Vehicle Crime Prevention Authority(MVCPA)が少なくとも3,000万ドルをFlockネットワーク構築に充当。同Authorityは知事が任命する委員が過半を占める理事会が率いる。
- 台数と契約:MVCPAの助成により、州および地方機関で少なくとも3,200台のFlockカメラが2023年以降に設置された。このうち約1,200台は州公共安全局(Department of Public Safety)向けで、MVCPAとの3年1,590万ドルの契約に基づく。
- 原資の構造:資金は2023年成立の州法で自動車保険証券に1ドルを上乗せして徴収し、触媒コンバーター盗難の対策に充てる目的で創設されたもの。同法案が上下院で全会一致で可決された際、Flockカメラ等への充当は議論されていなかったと、Tribuneの取材に応じた議員らが証言している。
- 技術の特徴:FlockカメラはAIでナンバープレートに加え、車種・色・バンパーステッカーやへこみなどの車両特徴を追跡・保存する。導入機関がFlockの全国検索プログラムに参加すると、他機関のデータを全国どこからでも検索できる巨大ネットワークが形成される。
プライバシー懸念と全国的な解約の広がり
- 悪用事案:Texas Tribuneの報道によれば、テキサス州内で少なくとも6つの警察・保安官事務所が過去1か月で、Flockシステムの悪用を理由に警官の停職・捜査・刑事告発を発表。ラフキン警察では警官が11人を1年以上にわたりFlockカメラで監視したとして、公共情報の悪用100件で訴追された事例がある。
- 全国の動き:プライバシー懸念やデータ共有、遊び場付近への設置、映像フィードへのアクセス管理などをめぐり、ここ数か月で全米の都市がFlockとの契約を解除。テキサス州内でも解約が進む。知事は8月29日のラジオインタビューで「取り締まり(crackdown)がテキサス全土で起きている」「Flockカメラは劇的に減少している。使われる場合でも責任ある使用が求められる」と述べた。
- Flock Safety社の見解:同社は「プライバシー保護策を伴う思慮深い法制度を支持する。Flockの技術は重大犯罪の解決、行方不明者の発見、盗難車の回収など公共の安全に重要なツールだ」との声明を出した。
- 今後の焦点:州資金の一時停止は州由来の助成に限定され、連邦資金で維持されているカメラは対象外とみられる。州議会や連邦議会での規制論議、データ共有の範囲や保存期間、令状要件の明確化が次の論点となる。