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IBM、時系列基盤モデル「Granite PatchTST-FM-r2」を公開 — GIFT-Evalで商用利用可ライセンス首位

IBM Researchは2026年9月9日、Granite時系列ファミリーの新モデルPatchTST-FM-r2を公開した。約385Mパラメータのゼロショット予測モデルで、GIFT-Evalでは再現可能なゼロショット中CRPS・MASEともに2位、商用利用可能なライセンスのモデルでは首位。Apache-2.0とOpenMDW-1.0のデュアルライセンスで重み・コードを公開している。

IBM Researchは2026年9月9日、時系列予測向け基盤モデル「Granite Time Series PatchTST-FM-r2」をHugging Faceブログで公開した。前身PatchTST-FM-r1の後継で、更新されたアーキテクチャ、大規模化した事前学習コーパス、確率的予測、欠損値補完を約385Mパラメータに収めている。重み・アーキテクチャ・推論パイプライン・ベンチマーク再現用コードが公開され、Apache-2.0とOpenMDW-1.0のいずれかを選択できるデュアルライセンスで商用利用も可能としている。

GIFT-Evalでの評価 — 再現可能なゼロショットで2位、商用可では首位

  • 評価の枠組み: GIFT-Evalは多様なデータセットと予測シナリオを横断する時系列予測ベンチマーク。ブログでは「ゼロショット・再現可能・テストリークなし」の条件に絞った順位を報告している。
  • CRPS: 幾何平均0.467で2位。比較対象ではTimesFM-3の直後、商用利用可ライセンスのモデルでは最上位としている。
  • MASE: 幾何平均0.6846で2位(CRPSと同様、2026年9月8日時点)。
  • pretrainedを含めた比較: GIFT-Eval評価データの学習部分を事前学習に含めることが許されたpretrainedモデルを加えても、再現可能モデル中でCRPS 3位・MASE 4位を維持し、Chronos-2、Timer-S1、Toto系などを上回るとしている(競合の一部は大幅に大規模との説明)。

GIFT-Evalにおける再現可能なゼロショットモデルのCRPS比較。PatchTST-FM-r2は幾何平均0.467で2位、商用利用可ライセンスでは最上位

出典: IBM releases SOTA Granite Time Series PatchTST-FM-r2 model with commercial-friendly license(Figure 1)

アーキテクチャ — r1のTransformer層をconformer化

  • conformerブロック: r1の「マルチヘッド自己注意+フィードフォワード」層を、2つのhalf-stepフィードフォワード層で自己注意と時間畳み込み層を挟むconformer型に置換。自己注意が長距離関係、畳み込みが局所構造を担う分担により、conformer側の注意は遠距離(非対角)に集中したとしている(ETTh1実サンプルでの観察)。
  • 畳み込みカーネル: 交互に3と5を使い、{5, 5, 3, 3}の繰り返しパターン。
  • パッチ処理: 50%重複パッチにHamming窓重み付けとoverlap-and-add予測でパッチ境界を平滑化。ブロック数は20から30に拡大し、安定化のための正規化を追加している。
  • 仕様: 約385Mパラメータ、最大8,192ステップのコンテキスト、柔軟な予測長、99分位点ヘッドによる点予測と分布・不確実性区間の出力、欠損値補完に対応する。

学習データとライセンス — コーパスを開示、r1と後方互換

  • 事前学習コーパス(4構成、文書化あり): GiftEvalPretrainからの選別データ、周期カーネルを変更したKernelSynthベースの合成データ、GIFT-Eval評価集合外に限定してChronos方式で生成したTSMixupコーパス、長さ4,096の約50万件の合成CauKer系列。
  • ライセンス: Apache-2.0とLinux FoundationのOpenMDW 1.0のデュアルライセンス(利用者が選択)。いずれも利用・改変・配布の広い許諾を与えるものと説明されている。
  • 再現性: アーキテクチャ実装はGranite-TSFMリポジトリで公開され、PatchTST-FM-r1のチェックポイントと後方互換としている。
  • 利用: Hugging Face Hubの ibm-granite/granite-timeseries-patchtst-fm-r2 から取得でき、ファインチューニングなしで直近履歴から予測と分位点を生成するパイプライン例が示されている。用途として需要・価格・エネルギ負荷・交通・テレメトリ等の定常サンプリング系列を挙げている。

なお、数値はいずれもIBM側の公表値であり、独立した第三者検証ではない。GIFT-Evalのリーダーボードは更新されるため、順位は2026年9月8日時点のスナップショットとして読む必要がある。

出典