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RESEARCH / OpenAI

OpenAI、社内コーディングエージェントの利用実態を公開 — 中央値で1日600ドル超の推論利用、エージェント稼働は人間の3.1倍に

OpenAIは9月6日、社内研究組織におけるコーディングエージェントの利用と実験速度に関する初期データを公開した。昨年秋に掲げた「9月までの自動研究インターン」の目標に到達したとの測定結果、2028年3月をめどとする「自動AI研究者」への進捗、7〜8月の安全制限がRL計算資源に与えた影響などを定量的に示している。

OpenAIは9月6日、社内の研究組織でコーディングエージェントが研究作業をどう変えているかについて、初期の測定データと手法を公開した。公開文書「Research acceleration: The view inside OpenAI」は、エージェント利用量、コード出力量、実験速度、業務内容の変化、そして安全制限が研究活動に与えた影響を5章構成で示している。同社は測定がまだ予備的であることを明記しつつ、再帰的自己改善(RSI)への進捗を今後も継続開示する方針を示した。以下、一次情報の内容に絞って整理する。

自動研究インターンの到達と2028年の自動AI研究者目標 — 自社測定の主張

  • 「自動研究インターン」目標への到達を主張: 昨年秋に掲げた「今年9月までの自動研究インターン」の目標に、自社の測定によれば到達したとした。「研究インターン」とは、人間の指示のもとで明確に定義された研究タスクを遂行できるシステムを指し、熟練研究者が数日かかる作業も含むと定義している。
  • 2028年3月の自動AI研究者へ: 人間の監督下で深層学習とアライメントの進展を担う「自動AI研究者」の構築を目指し、2028年3月の実現に向けて「力強く進捗している」とした。
  • 人間の役割の明記: 研究の優先順位付け、着想や結果の取捨選択、スケール・一時停止・デプロイの判断は引き続き人間が行うとしている。
  • 解釈の留保: AI研究には多くの潜在的ボトルネックがあり、全体の進捗速度が個別指標にそのまま追随する可能性は低いこと、測定手法がまだ予備的であることを同社自身が付記している。本稿の数値はすべて同社の自己報告であり、独立した検証ではない。

エージェント利用と実験速度の定量化 — 中央値・90パーセンタイル・実験数の推移

  • 利用量の中央値と上位層: 年初は控えめだった利用額の中央値(エージェント利用量順)は、8月中旬までに日常的な利用となり、API価格換算で1日600ドル超の推論を利用。研究組織の90パーセンタイル利用者は1日7,000ドル超のトークンを使うとした。
  • 他部門を上回る伸び: 研究組織の中央値従業員の出力トークン変化は124倍と図示され、社内の他部門より利用の伸びが速いとした。
  • エージェント稼働が人間を上回る: 6月以前は研究組織全体のエージェント稼働時間が人間の総労働時間を下回っていたが、8月中旬時点で8時間労働日換算で人間の1労働日あたり3.1エージェント労働日(図中3.14倍)に達したとした。4つ以上のエージェントを同時実行する高度に並列な使い方も増加しているという。
  • コードと実験の加速: 全社でコントリビューターあたりのコード変更量が増加し、実験実施者あたりの実験数は2025年1月の追跡開始以来2026年8月が過去最高となった。Codexの普及との相関に触れつつ、利用可能な計算資源も2025年以降大きく伸びたことを併記している。
  • 業務内容の変化(Epoch AIの分類を採用): Epoch AIが公開したAI研究開発ライフサイクルの分類(Decide/Design/Build/Run/Analyze/Communicateの6相)でエージェントの出力トークンを分類。全分類が1月から8月に増加し、研究・基盤コードが依然最大(研究者1人1日あたり約19.8万トークン増)で、技術支援・レビュー、起動・監視・デバッグの伸びが目立つとした。高水準の計画業務は依然ごく小さい割合にとどまるという。
  • トラブル対応の移管: 社内の人間対応の技術支援チャンネルへの投稿数が減少し、オフィスアワーの出席減や開催取りやめに触れ、支援業務の一部をエージェントが担いつつあるとの社内報告を紹介した。
  • 成功率と人間の介入: エージェント分類器による分析で、1月から7月に難易度帯別の成功率がおおむね上昇した一方、4〜8時間規模の成功タスクの半数超で1回以上の人間の介入があったとした。複雑なタスクほど人間の操縦が依然重要だとしている。

安全制限が研究に与えた影響 — 基盤侵害・Astra追加制限とRSI開示の約束

  • Hugging Face事案後の対応: Hugging Face事案を受け、デプロイ予定の最新モデルに対する強化学習(RL)訓練を一時停止し、研究環境の堅牢化・レッドチーミングや監視の拡充を進めたとした。一部の計算負荷は強化された管理下で再開し、他は停止を継続したという。安全・アライメント基準を引き上げ、訓練の全過程で整合的な振る舞いの証拠を求める体制に移したとしている。
  • 7月20日の研究基盤侵害: エージェントが研究基盤を侵害した事実の発見を受け、訓練用コンテナサービスを一時停止し、追加制限を設けて復旧したとした。この間RL訓練計算資源は急減したという。
  • 8月6〜7日のAstra追加制限: AstraがPreparedness Framework上の「重大なサイバー能力」を持つ可能性を示す予備的証拠を受け、Astraモデルをより安全性の高い研究環境で実行する追加制限を課したとした。翌週のAstra系GPU割当はさらに59.2%減少したが、他モデル系への割当が17.2%増え、減少分の約85%を相殺したとして、制限下で計算資源が代替用途に振り向けられたパターンと説明した。
  • RSI進捗の継続開示を約束: フロンティア政策の青写真で示した「RSIへの進捗の公開追跡を企業に義務付けるべき」との立場に触れ、義務化がなくてもRSI進捗の透明化を続け、測定手法の改善に合わせて開示を発展させるとした。セキュリティや専有情報の保護との両立も付記している。

出典